山曜日は山へ行こう


白鳥山
      

山曜日は山へ行こう!

                        

  


こんもりと円き山頂元越山円形展望ただ胸熱く

期 日 平成19年1月14日(日)  晴れ
標 高 元越山 581.5m
登山口 元越山登山口(岡バス停よりはいる)
  時 間   登山口−50分−林道出合い−30分−山頂
下山 山頂−75分−登山口
鹿児島からのアクセス 鶴見岳−大分道別府IC−佐伯市・国道388号−国道501号−岡バス停(岡バス停からは,丁寧な案内板がある。) H19.1.14現在
帰りは,10号線を下ったが,佐伯市から延岡まで60km以上もあった。
温 泉 かどかわ温泉「心の杜」

 鶴見岳下山後,大分県佐伯市の入江多い豊後水道近くにある元越山登山をめざした。 鶴見岳登山口より佐伯市までの道のりは案外遠く,しかも地理の不案内もあり,時間的な不安もあったが,とにかく向かった。
 車窓の空は益々晴れて一点の雲もなく,晴れ渡ってきて
「行け行けー!!」
と,気分を盛り上げてくれる。
 佐伯市内から,県道501号をめざして右に岡バス停。 バス停近くに,登山口案内があり,道順に従って集落に向かうと,民家の辻々に登山口の案内板があり,どんどん導いてくれる。 (それほど道が入り込んでいるという事でもあるが・・・・事前の道調べは大事である。)
 広い登山口駐車場は,大きな標柱があり,よく分かる。
 水とカメラをもち準備したのは,15:30である。
 登山口隣の民家の男性に
 「今から登山は大丈夫でしょうか?」
と,聞くと,しばらく時計とにらみ合って, 
 「そうだねー。 懐中電灯を持っていった方が良いかも」
との事である。
 「ヘッドランプを準備しています」
 「時間的にぎりぎりでしょう。 登り下り1時間半ですから」
との事である。 自分の行動の判断を人にゆだねる訳ではないが,もう,夕刻の域である。
 「絶対行く」 
と,いう意思はあるが,常識的ではないと自問する意味で,思わず男性に頼ったのである。
 「ぎりぎりでしょう」
と,山を良く知り尽くした住民の言葉に背中をドーン!と押された感じでもある。
 「ありがとうございます」
 もちろん,この時間なので,準備していたが,適切なアドバイスに地域の心遣いに有難くヘッドライトを握り締めたのである。
 登山道入口の登山名簿に記入し急いだ。
 
 まずは,竹林である。粘土質の深く侵食された細い登山道である。
 まもなく,尾根に出て,全体的には緩やかなのぼりが続く。
 やがて,大きな葉のシダが一面の植林の中,夕方の陽射しであるが,木漏れ日が明るい。
 ずっと一本道で分岐もないし,道標もしっかりしていた。
 途中,一人の男性と,夫婦一組の下山者とであい,
「今からですか」
と,言われたが,明かりを持ってきていることを話すと,
「それなら大丈夫でしょう」
,との事だった。
 すぐ左脇にある石仏の前を過ぎ,程なく,林道に出て,道標に従い林道を横切って進む。
 赤く染まりだした夕日を右側に見ながら,緩やかなのぼりを急ぐ。
 全長3kmあまり,中間地点から山頂までの距離が,表示されている。
 あと,1kmからは,100m毎に標柱が立ち,山頂に近づく事を実感させてくれる。
 あと,600mの表示のところがピークになっており,ここから一旦鞍部に下り,もう一回登り,最後に,あと100mの表示から,一登りすると山頂となる。
 山頂はきれいな円形で,しかも,こんもりと盛り上がっている草地である。
 360度のパノラマ山頂と,よく言われるが,一角に樹木があったり,不安定な露岩だったり,広く平たい山頂だったりする。
 ここの山頂は,丸い地球儀の一点に立っているような感覚なのである。
 眼下の湾の入江,小島,海を隔てて四国の山々,街,河,名峰・・・・山頂中央に立つと,全てが視野に収まる。 円形のパノラマ・・・。
 ゆるい傾斜のついた草地に寝ころびたいが,そうはいかない。
 名残惜しいが,下山とする。
 
 下山はとにかく急がなければ・・・・。
 初めは,それほど危険な地点はない。
 走るように進む。
 30分ほど過ぎると,日が沈み,残照も薄れてヘッドライトを準備する。
 慌てているので,うまく電池がはまらず電池をいじっているうちにたちまちあたりは真っ暗になってしまった。
 やっと点灯してほっとする。
 ヘッドランプは小さくとも明かりは強い。 とにかく,目の前の1本の登山道だけは照らしてくれる。 一歩一歩転ぶ事のないよう急いだのである。
 18時30分駐車場についたら,空にキラキラ一面にまたたく星!!気付かなかったが,山での星は,きれいだったろうなあー。
 でも,真っ暗の山道は,恐怖,不安の一言。
 星どころではなかったのである。
 カメラに最後に移すことが出来たのは,17時50分まで。 後は,空も山も闇の世界だったのである。
 山での夕暮れを体験し,その暮れの早さ,闇の濃さをあらためて知り,登山に当たっての周到の準備の必要性を,新たに認識する。   いい勉強をした元越山登山であった。
山頂展望板の上部に,元越山の山頂パノラマに感動した国木田独歩の記した文章がある。


山巓(さんてん)に達したる時は,四囲の

光景余りに美に,余りに大に,余りに全きが

ため,感激して涙たらんとしぬ。

ただ,名状し難き鼓動の心底に

激せるを見るなり

太平洋は東にひらき,北に四国地手にとる

がごとく近く現れ,西および南はただ見る

山の背に山起こり,山の頂に山立ち,波のごと

く潮(うしお)のごとく,その壮観無類なり。

最後の煙山(えんざん),ついに天外の雲に

入るがごとき至りては・・・・

    国木田独歩「欺かざるの記」
    昭和二十六年十一月六日記録より