山曜日は山へ行こう!
刀剣山山頂花崗岩空に在り高隈連山目の高さなり
期 日 平成18年4月30日(日) 晴れ 標 高 第一刀剣山 662m, 第二刀剣山 660m めあて 最近,垂水市が力を入れて整備し,人気が出てきた刀剣山をめざす。 登山口 猿ヶ城渓谷キャンプ場駐車場 時 間 駐車場−20分−第1休憩所−40分−第6休憩所−60分−分岐−
15分−第一刀剣山山頂−15分−刀剣山展望所−刀剣山展望所−10分ー第一刀剣山山頂−40分−第二刀剣山山頂 下山 第二刀剣山山頂−25分−分岐−55分−第6休憩所−25分−
第1休憩所−35分−キャンプ場駐車場鹿児島からのアクセス 鹿児島市−垂水フェリー垂水港−猿ヶ城渓谷キャンプ場 温 泉
木の階段 | 第6休憩所 | コガクウツギ | ツクシヤブウツギ | 刀剣山山容 |
ヤッコソウの自生地 | 荒れた登山道 | 第一刀剣山山頂 | 第二刀剣山山容 | アケボノツツジ |
刀剣山展望所 | ドウダンツツジ | ミツバツツジ | 第二刀剣山山頂 | 第一刀剣山と展望所 |
来月にあまり山曜日が取れない。 それなら!と,天気予報で安定した晴れ日の今日,急きょ登山することにした。
垂水市の猿ヶ城渓谷からの刀剣山登山コースが整備されているという情報があるので刀剣山をめざした。
フェリーで垂水港へ,それから直進を続け猿ヶ城キャンプ場をめざす。
駐車場は広い。 大小のうすい色や白い石が目に付く川幅の広い流れが,あたりの樹々と清々しい渓谷を造っている。 大きな絵図で確かめ,道標に従って流れを右に遊歩道を進む。 豊かな水量は青々とした淵をつくったり,早い流れをつくったりしている。
まもなく,対岸にわたるが,橋が渡ってない。 広い間隔の岩には十分気を付けて,エイ!ヤッ!と,跳び,後はトントンと流れをわたる。
対岸にでると,立派な遊歩道と橋がキャンプ場から続き合流している。 帰りのコースは,このコースを通ったが,下流の方に立派なつり橋があり行楽客もつり橋から渓谷の流れを楽しんでいた。
さて,道標に従って左に進み登山道に入る。
駐車場から見た刀剣山の山容は,まるで中国の水墨画を思わせるが,登山道に入ると,その通りで奥深く,朝早いためか全体的にひっそりとして,その中にも濃淡の緑が清らかで気品も感じられる。
全体的には非常に険しく厳しい登山道である。
前半は,丸太や土嚢で組んだ急登階段が続く。 急ではあるが,第1から第6までの休憩所が設けられ,テーブル,いすも備えられほっとしながら登れる。 階段数を数えたのだが,ひょっとすると500段前後あるかもしれない。
自然林,杉林,ヒノキそして,つわぶきの群生で花の咲く頃の情景が目に浮かぶ。
花といえば,樹林のあちこちに真っ白のかわいらしい花びらのウツギが,びっしり花を付け明るい気分にしてくれる。
ウラジロの群生では,腕をぴんと張ったような新芽が軽やかさを感じさせてくれる。
後半は,うって変わって厳しかった。 台風や水害で流された大木,土砂,岩が随所に転がり,あるいは山肌や岩肌が破壊され,行く手をさえぎり,岩肌登り,岩肌渡りとなったり,登山道が寸断された地点では,10メートルはしご,5メートルはしご登りとなる。 迷ったり,困ったりすると,細いが,丈夫なロープがあったり,赤テープがあったり,道標も随所に立てられている。
はしごは,傾斜があり高いが,しっかり固定されていて,びくともしないように設置されていてありがたかった。
また,急な登り地点では,木の根や,枝は足置きや手の支えとなって我々の登山を助けてくれる。
最後は,山頂や展望所に向かう尾根歩きである。
まず,第一刀剣山山頂へ向かう。
落ち葉を踏みしめ進む登山道には,ミツバツツジが多く見られ,色彩が心まで楽しませてくれる。 満開を過ぎているようだ。 一回り大きなピンクの花はアケボノツツジか。
第一刀剣山山頂で登山写真を撮り,急下り急登りして次の刀剣山展望所へ向かう。
刀剣山展望所は,大きなドウダンツツジの根元に石の標識が置かれ,程よい広さで,高隈の山々,かすんではいるが錦江湾など展望も素晴らしい。 特に,特徴的なことは,第二刀剣山の白い岩峰群がみえる。
5人の登山グループが登ってきて,お互いに記念撮影ができた。
「ありがとうございます」
もう一組の夫婦登山者も着いた。
次は,対座する第二刀剣山山頂を目指すことにする。
第二刀剣山山頂付近あたりまでは,落ち葉を踏みしめ木漏れ日を楽しみながらのコースだったが,そこからはまたまた厳しい。
ストックをザックに入れ,両手でそこらの木の根や枝をつかみ,握りエイ!!エイ!!ヤッ!!と,体を持ち上げる。
そのかいあって,徐々に高度感が増し,絶景も広がるピークに出る。
「山頂かな?」
でも,岩でない。 向こうに白い岩峰が見える。
「まだだー」
「あっちだー」
「危ないからここでいいが」
「でも」
だんだん急下りを進むと巨大岩が現れた。
白いざらざらの岩・・・・見上げて
「これは登れないよ」
でも左に小道が見える。
「こっち,こっち」
と,進み,ぐるりと回りこむと,裏の方の岩のへこんだところに土が入っていて草が生えて,それは岩の上へと続き
「バンザーイ!!」
平らな岩の先は空に突き出ている。 お弁当タイムだが,空中の岩の上は少々怖い。 でも,さっさと食べることにして,席に着いた。
高隈の山々がぐるりと囲んでいる。 空と雲と山・・・・美しい色である。
対座する峰の,刀剣山展望所付近の小さな人影が動き,出逢ったグループの人から大きな声で呼びかけてきて,手を振った。 それに私達も応え手を振った。
「彼らも登ってくるかな?」
そのうち緑の中に消えて,別な人影が二人登っていくようだ。 赤い手袋をつけた手を振ると,二人連れも手を振っている。
更に大きく手を振ると,あちらもまた大きく手を振ってくれる。
「楽しいね。 いい気分・・・」
山頂眺望を楽しんだり,撮影したり,・・・・怖いといったが,その割にはねころんだり・・・・・30分ほど過ごして下山とする。
下山は,注意を集中し,後ろ向きに降りたら,案外うまくいった。
途中,あの刀剣山展望所で手を振って応えてくださったご夫婦と出逢った。
「ありがとうございます」
御夫婦は,第二刀剣山へと進んで行った。 下山は少々余裕も出て,岩をすべる流れを楽しんだり,せせらぎの中にカジカや野鳥の声を聞くことができた。
高さがそれほどなく,コースも整備されたと聞いていたので,これほど厳しい思いをするとは思っていなかった。 思いかけず,素晴らしい山と出会えて,楽しく充実した登山となり,
「鹿児島にも多くの素晴らしい山がある!!」
と,嬉しくなったのである。
この刀剣山にももっと,多くの登山者がおとづれて欲しいと思うことであった。
最後になるが,猿ヶ城渓谷の駐車場に着くと,多くの車が駐車していた。中には,カヌーを車の屋根に積んだものもある。 渓谷というだけ水や流れの美しさに誘われてくる人々も多いようだ。
大きなテーブルには,先ほどの5人グループも下山していて,楽しく団欒されていた。
近寄って今日の山の話しをしたり,かねてより歩いたり走ったりされているということを聞いて,私達もより動くことを触発された。
気さくな,みなさんとの出逢いに感謝する一日でもあった。